第8話 第三次直上決戦
3月16日 午前9時3分 プラボカ北西湿地地帯
(なんだと?)
信じられようか、クラウドは突きを跳躍して避けたのだ。それは竜騎士と比肩しうる見事なものだった。それだけではない。振り上げたバスタードソードを、空中でカインに向け振り被さったのだ。ブレイバー。それがクラウドの持ち合わせていた大技の正体だ。
「!!」
バッツが、カインがその意表を突く攻撃に驚愕した。カインはとっさにミスリルランスを頭上に、横に掲げ、クラウドの一撃を防ごうと試みる。避ける暇はない。刹那、鈍い、重い音が鳴り響く。クラウドの一撃が、カインのミスリルランスを両断してしまったのだ。
「くっ!」
柄が砕ける一瞬前に、地を蹴り、後ろに飛び去る。でなければ、自らも両断されていたであろう。それから僅かな時が流れる。が、その僅かな時が何と長く感じられる事だろうか。カインは口を開く。
「負け、だな・・・。確か、クラウドと言ったな?」
「ああ。」
「その強さ、何者だ・・・?」
「元ソルジャー1STだ。」
「ヒョウ♪」
返答に口笛を鳴らす。クラウドはそんな事、どうでもいいと言うように、また剣を構える。
「まだ、闘る気か?」
「まさか。」
両手をあげ、滅相もない、と言う顔をする。
「2人とも、いうかこの手で必ず討つ。それまで討ち取られるなよっ!」
そう言い残し、自慢の脚力に物を言わせ、2人の前から姿を消す。
「!」
クラウドは斬りかかる訳でもなく、だたその場にいた。
「クラウド!」
そこにバッツが駆け込んでくる。
「ああ、心配ない。賊は逃げた。」
「そうじゃない!」
腕の傷だ!と言う前にクラウドの右手をひっつかみ、傷を見やる。二の腕から手首にまで深い裂傷が走っていた。それを見ると、バッツはいてもたってもいられない。それが言葉に出た。
「すまない、クラウド!」
「何を謝るんだ?」
無表情の顔が珍しく曇る。
「俺が、あいつとの決闘に応じてさえいなければ、こんなひどい傷を負わなくてすんだじゃないか!」
「そんな事は気にするな。傷はすぐに治る。それに、仲間だ・・・。見殺しに出来ない。」
「とにかく、一度陣地に戻った方が良い。手当をしないと・・・・。」
「ああ、そうだな・・・。」
言うとクラウドは、剣を背に収め、陣地を目指す。バッツは付き添おうかとするが、左手でそれは制された。クラウドの姿を見て、自責の念が吹き出しそうになる。が、ここで歯を食いしばってもいられない。バッツはここにそんな事をしに来た訳ではなく、戦いに来たのだ。来る暗黒魔道士との戦いのため。彼はボコと共に戦場に飛び込んでいった。