第7話 激突
午後2時過ぎ バロン陣地から東1km
乱戦の幕開けだ。チョコボを駆り、真紅の鎧兜を身につけた騎士と、鬼の様な、漆黒の鎧兜を身につけた騎士の、血で血を洗う戦いを始めた。その中でバッツは、平常心を保ちつつも相手を見定め、戦いに挑んだ。
「うわあぁ〜っ!!」
雄叫びをあげ、アイアンソードを頭上に掲げるバッツ。狙いを付けた暗黒騎士は、既に斬り合いを始めた赤魔道騎士の側面を狙おうとしていたが、直前にバッツに気づく。が、間に合わない。ボコの加速力により敵の反応を許さず間合いに入り、つかさずアイアンソードで一撃。刹那、暗黒騎士の胸に鈍い金属音と火花が生じる。が、重厚な鎧は、バッツの剣戟とボコの加速を以てしても亀裂が入ったのみだった。アイアンソードはむなしく弾かれ逆に、反撃がバッツを襲う。
「くっ!」
ボコの手綱を引き、ボコと共に身を反らす。暗黒の剣が視界をかすめる。負けじと第二撃。空振りによって生じる隙が大きい事に着眼し、隠しがたい隙に付け入る。兜に一撃。またも亀裂が入るだけにとどまるが、衝撃が暗黒騎士の頭を襲う。敵の鈍ったところでバッツは、鎧でもガードしきれない関節を狙う。その瞬間、暗黒騎士の首から鮮血がほとばしる。動かぬ敵を尻目にバッツは、更に剣を振るう。ウォルス軍勢はそれに鼓舞されて、グレートソードを振る。魔法は暗黒剣と同じく発動するのに時間がかかる。しかしそれは暗黒剣より遙かに短い。そのためウォルス軍勢は数では劣っていたものの、距離を置き、魔法を放つ事で互角の勝負を繰り広げていた。しかし、互角の勝負では意味がない。相手が精鋭だからこそ、完膚無きまでに負かし、敵の本隊に刺激を与えねばならない。焦る中、バッツは剣を振るった。
「思いのほか粘るな。」
カインは双眼鏡ではるか遠くの戦地を見やった。
「確かに。けれど、これから押しにかかるよ。」
セシルは冷静に戦況を見る。
一方、ウォルス軍も静かに戦況を見ていた。
「大丈夫かしら・・・。」
レナが気が気でない口調でつぶやく。
「そんなにバッツが心配かい??」
「バッツは簡単に死んだりしないわ・・・。」
「そうだな。」
2人は仲間と共に戦況を見守る事にした。
戦場では全体的にはともかくバッツの身には危険が迫っていた。敵は指揮官を叩き、混乱したウォルス軍を一気に倒したい様だった。バッツの周りは目に見えて暗黒騎士が集まってきた。包囲する気だ。それならいくらボコに乗っていても逃げられはしないだろう。バッツは何とか事態を打開しようと剣を振るうが、暗黒騎士達はそれを避け、囲いを完全な物とする。
「囲まれた・・・・?!」
「ふんっ、もうおしまいだっ!」
一人の騎士が吐き捨てる様にバッツに言う。騎士達は剣をバッツに向け一斉に突進を駆けた。
「これまでか・・・?!」
が、バッツは剣を鞘に収める事などしなかった。ボコも覚悟を決めたか、全速力で駆ける。
(せめて、一人くらいは道連れにしてやる!)
それは狂気か覚悟か?それは誰にも分からない。だが一つ、バッツの体を光が包み込んだのは確かだった。
「なっ、なんだ??!」
それは当の本人のバッツと、彼を囲む暗黒騎士達からほぼ同時に出た言葉だった。
「な、ん、だ・・・・?」
光が強まるに連れ、バッツの意識が遠のいてゆく。そしてその強い光は、両陣営から見て取れた。
ウォルス軍では、レナ達は勿論、他の兵士まで見入っていた。
「おい、ありゃ何かの魔法か?」
「味方の放った魔法なのか・・・?」
一方バロン陣営では、誰一人状況をつかめないでいた。前線で戦っている暗黒騎士達にも何がどうなっているのか分からないのだ。後方で指揮を執っているセシルにはそれこそ何も分からない。
「戦況はどうなっているんだ?!」
「状況がつかめません!」
伝令の兵士にも皆目見当がつかなかった。
薄れたバッツの意識に、父ドルガンの姿が蘇る。ドルガンの両手が力強く、バッツの両手を握る。そして、宿る風のクリスタルの力。「探求」の銘と共に・・・。
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