第7話 激突
午前6時 飛空挺赤い翼 司令室
セシルは朝早くから考え事をしていた。昨夜はなった偵察部隊が帰還していないのだ。予定通りなら、既に帰還しているはずなのだが・・・・。
「何かあったのだろうか??」
静かな室内にセシルの声が響く。不意にドアのノックする音が聞こえた。
「カインだ、入るぞ。」
「ああ、起きるの早いね。」
「お前ほどじゃないさ。」
冗談めかして言うカインだが、実際セシルは断続的に仮眠をとっていただけだ。偵察部隊の帰りを待ち、昨夜は睡眠らしい睡眠を取ってない。
「まぁ、かけなよ。」
とカインにイスに座る様に促す。カインはイスに座り、神妙な面持ちで話し始めた。
「なぁ、まさかウォルス軍が動いてるのか?」
セシルは少々考え言った。
「かも知れない。けど、モンスターに襲われたとも考えられる。」
「けど、100人がそう簡単にモンスターにのされるか?ウォルス軍が動いたと考えた方が安全だと思うが。」
「そうだね。プラボカの封鎖網を抜けたあの船も気にかかるし。」
あの船とはバッツらの船の事である。
「まぁ、それはおいといて、だな。」
カインは別の話題を持ち込んだ。
「1人謎の人物がやってくるぞ。」
「謎の人物?」
またもセシルは首をかしげる。
「ゴルベーザって言う暗黒騎士さ。」
「ゴルベーザだって!」
セシルはまたイスから腰を浮かす。カインもまたその驚き様に驚く。
「お前、知ってるのか?」
「ああ。」
「それにしても解せぬのは、なんでも陛下はあいつを将軍としてバロン軍に迎えたらしい。傭兵として雇うなら分かるが・・・・。いきなり将軍職だぞ?どんどんおかしくなってゆくな、バロンは。」
「こうしてどんどん僕たちの居場所がなくなるのかな・・・。」
「もしかしたら、陛下は俺たちを見限るかもしれんな。」
2人の若きバロン将兵は、思わず漏らした。2人は軍に従事して数えるほどの年月しか経ってない。だがその期間、2人は王に尽くしてきた。特にセシルは孤児だった自分をここまで育ててくれた王のため、休むことなく尽くした。父の様な存在の彼に、育ててくれた恩を返すため、暗黒騎士の道を歩んだ。その王が、変わろうとしている。優しかった、父の様な王の姿は既にない。血と破壊を好む様になってしまった。
「何としてもバロンを食い物にする奴らを抑えねばな。」
「そうだね。」
セシルはカインの言葉に頷き、微笑む。カインは思う。久しぶりだ、セシルの笑顔を見るのは、と。
「さて、では俺はちょっと体を動かしてくる。眠気を覚ましてくる。」
「ああ、いってらっしゃい。」
と、その時セシルの部屋に兵士がやって来た。伝令だろう。彼はセシルとカインに一礼し、報告する。
「報告致します。ベイガン少将麾下5千人がただ今プラボカ港に到着されました。
正午にこの陣地に到着するとの事です。」
「分かった、ありがとう。」
兵士は礼をし、退室していった。
「あの中にゴルベーザもいるはずだ・・・・。
ヤツの事を探るなら用心した方が良い。」
「ああ、それはよく分かってるつもりだよ。お互い気を付けよう。」
「ああ。」
カインはそう言い、部屋を出て行った。部屋にはセシルだけ。他には誰もいない。化けの皮をはがしてやる・・・!それがセシルとカインの、ゴルベーザに対する一致した意思であった。
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