第6話 初陣

午後12時43分 ウォルス領 カーウェン駅プラットホーム 中半

 
不意にノックの音が聞こえた。

「入れ。」

「失礼致します。」

フューンである。

「傭兵部隊の指揮官、カイエン様をお連れしました。」

フューンの後ろには、カイエンが立っていた。

「うむ、ご苦労。下がって良いぞ。」

「はっ。」

フューンは退室し、カイエンを入室させる様に促す。司令室のドアが閉まり、室内には2人の武将が居るのみとなった。

「ようこそ、カーウェンへ。私がこのたび指揮と取るドーラ・カノーネであります。」

「カイエン・ガラモンドでございます。」

2人は固い握手を交わし、ドーラはイスにかける様促した。

「それにしても、とんだ足止めを喰らいましたな。あなた方は帝国大陸から逃げ延びた兵士達をまとめ、本部に帰還されるおつもりだったのでしょう??」とドーラが心底困りましたな、と言う顔でカイエンに聞く。

「いやいやとんでもない。普段我らの組織はあなた方に大変な迷惑をかけております。これはその罪滅ぼしとでも思って頂ければ、救われまする。」

2人はこれは初対面ではないらしい。お互いに態度がそうである事を物語っている。それにしても組織とは何の事か?それは今は全く分からないでいた。

「それに、相手がガストラ帝国でないにしても、クリスタルを悪用せんとする者と戦うのも、我らの使命でござるよ。拙者はその手助けをしているだけでござる。」

「ふむ・・・。それにしても、傭兵部隊はなかなかの粒ぞろいのようですな。ウォルス王も、とんだ化け物共を
集められたものだ。コトが終わったら、正規軍に加えたいぐらいですよ。」

含み笑いをしながらドーラが言った。実際手練れがよくここまでそろったものだ。

「さよう。拙者がいちいち命令を下す必要もあるまい。さて、いかに我々を使いますかな??」

「この様な案はどうでしょうか。」

と言いながら、ドーラは地図と鉛筆を取り出し、地図に次々と書き加えていった。

「敵は、カーウェンから20kmの所に飛空挺5隻を中心に陣地を作っております。」

言いながら鉛筆で敵陣地を書いていく。

「この周辺は湿地地帯で、我々が意のままに動けない事を踏んで陣を敷いているようです。」

「規模は?」

「約2万3千。内訳はバロン陸軍1万3千、カルナック陸軍1万人。バロン軍には少数精鋭の暗黒騎士、竜騎士が混ざっているようです。アガルトやプラボカでは彼らにいい様にやられました・・・。」

「それらと我々をぶつけるのでござるか?」

「いや、そんなもったいない事は、いたしませぬ。とにかく暴れて、敵を倒して頂きたい。敵の精鋭は赤魔道士で抑えます。」

「大胆なコトを考えますな。まぁ、その方が彼らの性にあっておるでしょう。」と、カイエンが答えた。

「次に進みますが、敵を引きつけようと思います。赤魔道騎士で敵を刺激し、湿原を通る様に仕向け、動きの鈍ったところで叩きつぶせれば・・・と考えております。で、赤魔道騎士達でおびき寄せるのですが、傭兵部隊から指揮官を選抜して頂きたいのですが・・・。」

「ほう・・・。我らから?」

「指揮官といえども、引き際が見極められればそれで結構。問題は、敵を刺激する闘志が必要なのです。できれば、湿地を駆けるのだから、チョコボの扱いに慣れた者を取り立てたいのですが。」

これは全てドーラの理想である。粒ぞろいの傭兵部隊ならもしかして、と踏んでカイエンに言ってみたのだ。望み薄かと思われたが・・・。

「ん・・・?!心当たりがあるでござる。」

「おおっ!!それは誠でありますか?!」

まさかっ!と言う顔をしながらドーラは踊りたくなる様な衝動を抑えた。これならば思いのままに反撃が可能である。

「その者に、拙者から話を持ち出します。もしダメなら、拙者は部隊を率いるでござるよ。」

「ははっ。ではよろしくお願いします。」

言ってカイエンは司令室を後にした。



「おまえが隊長っ??ぷっ・・・・。」

広い食堂で、ファリスが思わず吹き出す。

「わっ、笑うなよ!なりたくてなったワケじゃないんだから・・・。それにクラウドに見事に裏切られたからなぁ・・。」

言いながらバッツは、静かに昼食を口に運ぶクラウドに視線を向けた。

「そう言うな。何事も経験、だろ?」

「そうっ!その通りじゃ!バッツ、若いうちは楽なぞ考えるでないぞ?」

ガラフが頷きながら言う。その言葉にバッツは、小さくなるばかりだ。

「それにしても大丈夫かしら?バッツに隊長をやらして・・・。」

「なっ・・・・。」

心底心配そうにレナが言った。その言葉にバッツが凍り付く。レナは己の失言に気づき、ハッとする。だがもう手遅れだ。

「ご、ごめんなさい。そう落ち込まないで。」

「で、隊長のご予定は?」とファリス。

「?ああ、4時から顔合わせだよ。後は9時にここから出て、目的地に着き次第陣地を築く。」

レナが言う。

「全面衝突が近いって事・・・?」

「ああ・・・。」

バッツが答える。

「いよいよじゃの。さて、クリスタルが目覚めるかどうか。」

ガラフが思わず漏らした。それにクラウドが反芻(はんすう)する。

「クリスタル?」

「あ・・・。」

レナが気まずそうに漏らしながらガラフを凝視した。ガラフはそれに戦慄を覚える。
まずい!と思ったバッツがつかさずフォローする。

「まぁ人には言えない隠し事ってよくあるよな?それだよ、それ。」

だから、お互いに、な?と言う目でクラウドを見る。

「ああ、お互い詮索はやめよう。」

バッツはクラウドがセフィロスを追っている事を知らない。だからバッツは頭に疑問符を浮かべた。

「さて、俺はもう行かなきゃいけない。じゃあな。」
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