午後11時 ウォルス軍陣地
プラボカから、つかず離れずの距離にウォルス軍は陣地を設営していた。約2万2千人もの軍勢の陣地だから、先に無力化したバロン軍陣地とは、規模がまるで違う。日は既に沈み、陣地のあちらこちらでは、たき火やたいまつ、ランプの光が輝く。陣地のほぼ中心の、巨大なテントでは今、作戦を練っている真っ直中だった。会議は長引いており、作戦の全容は明らかでない。が、プラボカに大挙して進軍、そしてこれを奪還。そして敵を一掃する、というのは全将校が信じて疑わなかった。
「密偵を放ちましたところ、敵はプラボカで防戦の構えを取り、我らを待ちかまえている模様です。」
1人の師団長の言葉だ。
「それは好都合ではないか。我が軍はプラボカに攻め入るつもりでいる。」
ドーラは笑う。不敵な笑みを浮かべる。
(密偵って、まさか・・・。)
同席していたバッツが密偵という言葉に耳を傾ける。これ程速く敵の確かな情報を掴む・・・。バッツが知っている人物で、そんな芸当が出来るのは1人しかいない。シャドウだ。バッツは知っていた。今日の戦いにもシャドウが参加していた事を。昨日の会戦にも参加していた事を。一体いつ休んでいるというのか?
「敵は大通りで銃と長槍、そして暗黒騎士を使い、我々を迎え撃つ模様です。」
「建物を側面の盾として数の不利を補うか。さかしいな。」
ファリスの戦略眼が光る。実際セシルも数の不利を思い知っているが故、このような戦い方を選んだのだ。
「しかし、もはや進軍は止めますまい。我が兵達とて、待ってはくれますまい。」
カイエンの言葉だ。
「ここは数で押す作戦に出ましょう。多少効率が悪いかも知れませんが、威圧感を与えられます。」
確かに、数の優位を知らしめる事だけで敵の士気に多大な影響を与えられる。
「よし!では明朝6時この陣地を発つ。全主要道に兵を展開し、物量戦を挑む。諸君、兵卒、主計兵、給仕係、衛生兵まで1人も残さず作戦の概要を伝え、全力を尽くすよう伝えて欲しい。」
威勢良い返事のあと、各自自分の部隊に戻り、作戦の概要を全軍に伝えた。時計は日を改め、新しい朝日が地を照らし始めた。そして・・・。